Keywords: PIC PIC18F2680 CAN CAN-BUS ゴルフ GOLF DSG インジケーター シフトポジション

DSGインジケーターの製作

実際の装着写真
ec2-3-230-1-23.compute-1.amazonaws.com , 54564th 2017/05/15 UPDATED
Copyright(C)2009-2010 H.Kashima

[更新履歴]
2009.5.25	プロト基板完成
2009.8.13	β基板完成
2010.7.3	Ver1.00pre. FUELゲージ、スリープモード、7速DSG、SD入忘れチェック、SW電源化、タイトル・セル画変更対応
2010.12.7	Ver1.00ファーム公開
2010.12.11	v1.1基板回路図
2011.1.29	Ver1.01ファーム 水温が零下の時ギアポジションが表示されないバグを修正
2011.4.11	Ver1.02ファーム エンジン回転が16,383rpmを超えると表示が狂うバグを修正
2011.7.31	基板ガーバーデーター公開
		Ver1.03ファーム 6R POLOに対応、強制起動するためのエマージェンシーモードを追加
2015.9.22	Ver1.04 Audi S1対応(テスト中)
2017.5.15	最新版Graphics Composerの生成するSDカードが非互換のため回避策を追加
  1. はじめに
  2.  純正メーターに付いているファンクションメーターではDレンジとSレンジでのギアポジションが右下に小さく表示されるだけである。 特に計器を気にして走り込むようなクルマでもなく、情報の必要性もないのだが、ヒカリ物グッズの一環として製作してみた。
     OBD端子から情報を取るメーターはそこいらのメーカーからいくつも発売されているのと、データーの更新レートに不満があったので、クラスターメーターのCANバス直結型とした。
    とは言え、ブースト値などの高更新レートの恩恵にあずかれる項目は反映できていない。

    コンセプトと動機のイマイチなグッズである。;(^^

    主な機能
    ・グラフィックカスタマイズ
    ・DSGギアポジション表示
    ・水温計
    ・燃料計
    ・ブースト(連成)計
    ・タコメーター
    ・CAN-BUSモニター
    
    

    テスト映像(GOLF5 GTI 2.0TFSI 6速)

    操作映像

    テスト映像(Audi A3 1.4TFSI 7速)

    β版操作映像(GOLF5 GTI)



  3. CAN-BUSの解析
  4.  ゴルフのCANバスは、Infortainment, Drivetrain, Combinience, Dashpanelの系統かあって、それぞれの系統で流れている情報が違ってくる。 メーター物の情報は Drivetrain系から取るのがベストだが、とりあえずは純正メーターに出てくる情報をということで、Dashpanel系のCANから情報を取ることにした。 最初は、接続障害が起こっても Dashpanel系なら運行に支障なし、と思っていたのだが、イモビライザーの情報が純正メーターに格納されているらしく、繋がらない場合は結局エンジンを始動できない。

     で、CANBUSモニターに出して流れているデーターを見てみると、arb.IDは 50個ほどあり、更新レートの速い物は 100fps、遅いので 1fpsであった。 恐らく、表示できる系のリアルタイム値は 20fps以上は出ていると考えれるので、特にこれらの項目を凝視していれば良いだろう。 水温などは 10秒置きくらいというのもアリなので、全体的に見る必要がある。 ただし、水温は頻繁に変わる数字ではないので、センサーにダミー抵抗を取り付けて数値を手元で操作できるようにしないと見つけることは難しい。
    で、いろいろ調べてみると、エンジン回転、水温値はすぐに判った。 ちなみに、水温の単位換算は、水温表示モードにしたエアコンパネルの数字と照らし合わせて調べた。
     肝心のDSGのギアポジションがなかなか見つからず苦労したが、よーく目をこらしてバスモニタを見ていると数字のチラチラがシフトポジションの位置によって微妙に違う項目があるのに気づいた。 100fpsで目にも止まらぬ速さなので、ログを取ってみると、ギアポジションの値が時分割で流れていることが判明した。 めでたしめでたし。


     1.4TSIモデルのメーターにはブースト計が付いていたので、CAN上には信号が流れているだろうと予想していたのだが、ブーストセンサーのカプラーにダミー電圧を与えても、適当な変動をするパラメーターを見つけることができなかった。
    OBDの診断情報のブースト項目には、Actual値、Specified値と2種類あって、Actual値はダミー電圧に反応するが、後者はECU内で使う予想値となっているためか顕著な反応はしなかった。 この値に連動したパラメーターは Dashpanelバス上で見つけることはできた。 ただ、この値は圧力値ではなく「ブーストポイント」なので、計器表示値としては使えない。
    そもそも、2.0TFSIエンジンの圧力センサーは、インタークーラーとスロットルの中間にあって、インマニ内にセンサーが付いていない。しかも正圧専用のセンサーである。 世間で言うブースト圧はこれらのセンサーからは得られないのだ。
    ブースト値を表示するには、後付けの圧力センサーを取り付ける必要がある。



  5. uOLED128-G1
  6.  表示器にオーストラリアのメーカーが作っている uOLEDというシリーズのものを採用した。 1枚 $65もして部品としては高価なのだが、microSDカードにビットマップをまとめて入れておいて、表示コマンドを与えると任意の場所にセル画表示できたり、SDカードをシリアル経由で読み書きできたりできる便利な表示器である。 ただし、ファイルシステムは載っていないのでセクターアクセスしかできない。

     有機LEDディスプレイは小さいLEDが光っているだけあって、視野角が広く、真横からでも画像を確認することができる。 液晶とは見やすさが段違いである。



  7. 回路について
  8.  CPUは ECANモジュールを搭載しているPIC18F2680を用いている。 必要なarb.IDのパケットを受信、解析後、uOLED128へセル画出力コマンドを順次送信する仕組みである。


    Schematic diagorm
    本体回路図 v0.9a (2010/12/19)
    Schematic diagorm
    本体回路図 v1.1 (2010/12/19)
    (SWレギュレータ化)


  9. ダウンロード
  10. DSG Indicator firmware 1.03 (for PIC18F2680) (2011/07/31)
    DSG Indicator bitmap cells(for Graphic Composer) (2011/01/30)
    DSG Indicator bitmap SD card image file (2017/05/15)
    DSG Indicator基板ガーバーデータ rev.1.2 (2011/07/31)



  11. uOLED用データSDカードの作り方
  12. 現在のバージョンの Graphics Composerでは、セクター0にセル画のインデクスが生成されなくなったため、取りあえず動作する SDカードを生成するには、先述の SD card image fileを USB Image Toolなどのイメージリストアツールを使って SDへリストアする。



    セル画イメージを変更するなど編集が要る場合は、4D SystemsのSDカード編集ツール Graphics Composerを使用して、DSG Indicator bitmap cellsのgcsファイルを開き、SDカードへ画像を書き込む必要がある。

    File->Buildダイアログで SGC - uSD Rawを選択、オフセットに $1000を入力し、SDカードリーダーのドライブ名をセットする。 間違って関係ないドライブに充てるとソフトがハングしたり、挿してあるカードのファイルシステムが上書きされたりするので注意すること。
    このツールでビットマップのカスタマイズが可能であるが、 セル画はツールに登録した順番で判別しているので、項目の順番が変わると表示がデタラメになるので注意すること。 また、当然ながら、元の画像より大きなものや物理的に入らない画像を登録すると画面が崩れたり誤作動の原因になる。


    セクター0にインデクスを作成するため、Graphics Composerから SDへ書き込みをする前に、あらかじめ既定のSDカードimageをテンプレートとして書き込んでおく。画像寸法、順番、サイズは変更できない前提であるので、既定のインデクスをそのまま流用する。

    ちなみに、インデクスは、Build時に生成される txtファイルの Goldelox Data項にある10バイトのデーターを全セル分列挙されたものである。(SD imageファイルの先頭を参照のこと)



  13. 取付方法
  14.  DSG Indicatorは、VW GOLF5 GTI 2.0TFSI '09y(6-DSG)、AUDI A3 1.4TFSI '09y(7-DSG)、Sirocco 1.4TFSIで動作が確認されている。 車種によってコネクターピン配置が違うので、それぞれ修理書を確認すること。 下記に示すのは、VW GOLF5 GTI 2.0TFSIのものである。
    ちなみに、メーターパネルの電源線は、VW GOLFはキー抜去で電源断となるが、AUDI A3の電源線はバッテリー直通でキーを抜いても電源断しない。 DSG Indicatorは、CANバスの信号が途絶えると低電力モードに移行するようにしてあるので、電源が印可しっぱなしであっても問題ない。

     メーターを取り外し、裏のハーネスからCAN信号2本と電源2本を引き出し接続する。

    1. ステアリングコラムアッパートリムを取り外す

    2. 奥に隠れているネジ2本を取り外し、メーターユニットを手前に引き出す

    3. ボディ側のコネクターの留め具を外し、コネクターと配線を引き出す。

    4. カッターナイフで信号線の被覆を5mm程剥いで、配線をハンダ付けする。
    5. dash panel insert connector(GOLF5 GTI '09y)
      #desc. #desc.
      1IG+ 19GND
      2Batt+ 20 
      3  21 
      4  22Left front brake pad wear sender
      5Brake fluied level warning lamp 23 
      6Hand brake warning lamp 24 
      7Immobilyzer lead coil.1 25Oil pressure warning lamp
      8Immobilyzer lead coil.2 26Oil level/temperature sender
      9  27 
      10  28Speed pluse output
      11  29 
      12CAN_L 30 
      13CAN_H 31 
      14  32 
      15CAN wakeup 33GND
      16  34Washer level warning lamp
      17Fuel gauge sender(full) 35Coolant temperature/level warning lamp
      18Fuel gauge sender(empty) 36Ambient temperature sensor

    6. ステアリングコラムの上にインジケーターを両面テープで固定し、配線を接続する。


  15. 追加ブーストセンサーの装着
  16. DSG Indicatorにはオプションで Defi製のブーストセンサー(P/N# PDF00603S)を接続することができる。
    Auto gaugeなどの安価なセンサーも内部換算値を変更することにより使用可能であるが、入手性の面からDefiのものを選択した。 いずれも接続する場合は、コネクターを日圧PHコネクタに交換する必要がある。

    2.0TFSIエンジンの吸気圧センサーはインタークーラーの出口に正圧用のものが1ヶ所付いているだけなので、ECUなどの制御システムからはインマニ圧の正確な値を得ることができない。 お馴染みの値を得るには新たに圧力センサーを増設しなければならない。

    市販メーターなどに付属しているセンサーキットには、5φの三又ジョイントが付いていて、これで圧力配管からセンサーへの管を取り出すようになっているが、TFSIエンジンの配管は12φで長さが70mm程なので、HKSあたりの配管パーツの 12φ-5φ-12φの三又を短くカットして使うか、専用の配管キットを使って取り出す必要がある。
    海外のパーツ屋を調べてみると、ブロバイパイプのジョイントにカプラーオンのアタッチメントや、ゴム筐体のものやら、今回製作したようなチョロい系のものやら色々あるようである。


    削りだしで作ったアタッチメント 装着写真
    ※写真のタケノコは、カクダイという会社の園芸用のもの。近所のホームセンターにて 5個270円。

    golf5 turbo attachment diagram
    アタッチメントの図面
    (2017/08/06)


    ブレーキブースター横のサービスホール 装着後 室内 センサーはバッテリートレイにある空きネジに固定


  17. 使用方法
  18.  操作ボタンは、MODE, SETの2つである。 MODEを押すと、下側のラインが水温、ブースト値、タコ、CANモニタと順に切り替わる。 各モードで SETを押すと、水温警告値、ブーストピークホールド、レブリミット、モニタアドレス設定となり、最初の1回目は現在値表示、表示中に続けて押すと設定が変更される。 水温警告値は 50〜150まで、レブリミットの設定範囲は 2,500rpm〜9,900rpmである。
    水温表示時に SETボタンを押すと、警告色表示にするしきい値の設定となり、ブースト表示モードでSETを押すと、ピークホールド値が表示される。 表示中にもう一度SETを押すとピークホールドはリセットされる。
    CANモニタモードではモニターする Arb.IDを設定することができる。IDの設定は、SETボタンを押す毎に桁単位で数値変更ができ、桁移動は、数秒待ってモニター画面になってからもう一度SETボタンで変更モードに入ると移動できる。

    [エマージェンシーモード]
     通常、電源投入時には、IG-ONとなるまでスタンバイモードとなっているが、 DSGインジケーターの電源投入時にMODEボタンが押しっぱなしになっていると、IG-ON待ちを無視して強制起動をかけることができる。 これにより、CANモニターモードから信号デバッグが可能となる。

  19. 参考文献
  20. Electronic Service Information System ElsaWin 1997 Volkswagen AG
    PIC18F2585/4585/2680/4680 Data Sheet, Microchip
    AN878 - PIC18C ECAN C Routines - Application Notes, Microchip

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