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感光基板で基板を作ろう!

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ec2-54-205-116-187.compute-1.amazonaws.com , 214528th 2001/07/31 UPDATED

基板製作にはの基板製品を使用しました。

  1. なぜ感光基板か?
  2.  感光基板で基板を作る前に、ユニバーサル基板でえっちらほっちら配線するのとどっちがメリットがあるかどうかよく考えましょう。 例えば、25cm四方を越えるような巨大感光基板の場合、その基板を露光・現像・エッチングするための設備も大がかりになります。 薬品類も基板全体を浸す事のできる量が当然必要です。

    メリット

    デメリット

     200mm x 150mm以下の大きさで、フラットパッケージとシュリンクパッケージとZIPパッケージが混在していて配線がもの凄く多い場合、もうこれは感光基板に決定です。

     また、初心者にはサンハヤトから発売されている「プリント基板工作キット PK-6」がお勧めです。 150mm x 100mmの基板を作るための薬剤と簡単なフィルム作成用具が揃っています。



  3. 用意するもの

  4. [注] 感光基板には消費期限ならぬ使用期限があります。 これは製造日から6ヶ月間なのですが、新しいものほど早い時間で感光し、古いものは感光時間が長くなります。 古さに応じて露光時間を調整する必要があります。 また、古いものは解像度が悪くなるような気がします ;(^^)

     私の場合は、1年モノの基板を使うとき普段より1分間長く(紫外線露光で)露光しました。

  5. パターンフィルム作成
  6.  わたしは電気回路CADとPCBCADを使ってパターン作成し、それをPPC用OHPシート(コピー機で印刷可能な透明フィルム)へページプリンターで印刷して作っています。
     印刷したフィルムはPP-356という専用感光フィルムに焼き直すと露光がきれいにゆくそうです。
     専用CADを使うと、未配線や誤配線を色表示してくれたり、部品パターンの管理ができたりして大変便利なのですが、適当なドローソフトでもそれなりのものを作る事ができます。
     パターンを作るときのコツのひとつは、溶解される銅箔の面積を減らす事です。 配線パターン以外の部分にはGNDパターンを展開するなどして要らない銅箔面を減らしましょう。 そうすればエッチング液も長持ちしますし、エッチング時間も短くて済みます。
     また、実際に出力されたパターンの寸法を正確に計って印刷縮尺を調整しないと、ICが挿入できないなんて事態になりかねませんので、しっかりとチェックしておきましょう。
     比較はしていませんが、フィルム内での光の拡散を抑えるため、フィルムの印刷面は感光面に接していた方が良いと思います。 ですから、印刷時にパターンを裏返し指定をする必要はありません。

    パターンフィルムパターンフィルム
    Protel98 TrialVersion(55MB) (リンク切れ)
    Protel98 ServicePack2(4.5MB) (リンク切れ)
    Protel98日本語コンポーネント (リンク切れ)
    Protel98日本語メニュー補正パッチ (公開終了)
    Protel98はメニューを日本語にカスタマイズすることができますが、UNDO操作をすると、直前の操作名を編集メニューへ表示するためにメニューのリソースを一部英語のデフォルトにリセットしてしまいます。 日本語にカスタマイズしている場合はこれに失敗して結果的には UNDOメニューは消滅してしまいます。

    本パッチは、ServicePack2を適用後にClient98のトップディリクトリに置いて起動し、パッチをあててください。

  7. 露光
  8.  感光基板は紫外線に感光するのですが、普通の蛍光灯や大型白熱球、ケミカルランプ(ブラックライト)で感光させることができます。 わたしは最初、屋外用300W白熱電球2個とか、写真用500W白熱電球を2個使って露光していたのですが、結局 15Wケミカルランプを4本使った紫外線投光器を作ってしまいました。 屋外用のランプは4分間で露光できますが露光ムラがあり、写真用のものはムラは少ないものの時間が長くパターンのコントラストがうまくないのです。 ケミカルランプを使ったら、コントラストも露光時間の短さもバッチリになりました。 是非ともケミカルランプか専用露光機を使うことをお勧めします。

     初めて露光をする時や、ランプの種類を変えたときは露光時間試験をすることをお勧めします。 サンハヤトから露光テスト用の感光基板 TEST-Kが販売されているので、それを使いましょう。

    (※追記)露光の作業をするのに、完璧な暗室にはそれほどこだわる必要はありません。 昼間でも、部屋のカーテンを閉めるなどして薄暗くしておけば問題ありません。 蛍光灯を近距離で露光しても15分以上感光時間がかかるのです。


    [自作投光器での露光]
    露光中露光中 露光時間実験露光時間の実験

    [専用投光器での露光]
    Sunhayato製バキュームクランプバキュームクランプ Sunhayato製両面露光機専用両面露光器



  9. 現像
  10.  現像液は現像剤をぬるま湯に溶かして作ります。 温度を変えて実験したことはないので良く解りませんが、わたしは現像液の温度を30℃位にして使っています。 大きな基板を作るのが難しいという理由はこの辺にあります。 定温の液体を大きな基板に浸すためにはヒーター付きの対流槽が必要なのです。
     現像は1分位で終わります。 パターンが黒く浮き上がってきてパターンの無い部分を触ってみて銅箔面から感光膜が溶けきったらOKです。 あまり現像液に浸しすぎると黒くなったパターンも溶け出してしまうらしいので気を付けましょう。

     店での保存状態や基板そのものの品質のばらつきによって、現像しても感光膜がうっすら残る事があります。 現像後、光に照らして良く見ると判ります。 不幸にして感光不良のエリアができてしまった場合は、有機溶剤をティッシュペーパーに付け、余分な膜が取れるまで表面を溶解します。 溶解した後は、現像液で軽くこすり、その後水洗いします。
     包装と基板本体との間にたまる空気の層が原因か、はたまた製造過程の問題か、原因は分かりませんが、エッチングしてからパターンを削るよりは、上の方法で処置した方がはるかに楽なので、注意して検査しましょう。 また、くれぐれも現像液の温度を適正(約30℃)に保ちましょう。

    [現像スプレーについて]
     部屋の温度が高くないとうまく現像できないようです。 また、スプレー時は相当臭いがキツイので換気を充分に取りましょう。

    (※追記)現像液の温度は高すぎても低すぎてもだめで、必ず温度は30℃付近に保つようにしてください。

    [重要!]
     現像液の廃液は未処理のまま捨てないで下さい。

    現像廃液現像廃液 現像完了現像の完了

    露光不良1露光不良や、その他の原因による現像ムラの例1
    露光不良2露光不良や、その他の原因による現像ムラの例2
    露光不良3露光不良や、その他の原因による現像ムラの例3



  11. エッチング
  12.  エッチング液(塩化第二鉄)は約40℃の定温で使用します。 温度が高くしないとエッチングが早く進みません。 エッチング液に1分も浸すと配線パターン以外の部分が腐食して色が変ってきます。 たまに、現像時に指紋が付いたり傷が付いたりして感光皮膜が基板のへりに残ることがあります。 下の写真を撮った時は関係のない部分に問題が発生しましたが、色が変わり始めた時点で再チェックして皮膜が残っている部分を何かで削って修正することができます。

    [重要!]
     エッチング液の廃液は下水に捨ててはいけません。 銅イオン入りの塩化第二鉄液として廃液処理業者へ引き渡すか、サンハヤトのエッチング液を使った場合、廃液処理キットが付属しているので、それを使用し廃棄しましょう。

    [汎用恒温ヒータ・湯せんでの作業]
    エッチング液加熱中 エッチング開始 エッチング途中
    エッチング終了 感光皮膜の残留した部分

    [専用エッチング漕での作業]
    吊り下げ穴をあける 基板をセット 6分後の基板
    フィルムの印刷ムラによるパターン陥没 ピン間2本は楽勝

     専用エッチング漕では非常に短時間でエッチングできます。 途中の状態を見ながら作業できないというのもあり、うっかりしていると細いパターンは痩せて無くなってしまうことがあります。 現像時にできたムラの領域などに銅箔が残っているからと、長い間エッチング漕に入れたりして、このような事が起こらないようにしましょう。 エッチング時間は、どんなことがあっても8分を超えてはいけません。

     最適な時間は、経験上約7分です。

    (※追記)5分半を越えると、感光皮膜の切れ目から浸食が始まります。 5分経ったら一度目視してみて、エッチングむらがあまりにあるようであれば、局部的にエッチングするなどして処理する必要があります。

    あと、エッチング漕の対流エアー噴出孔は、長い間使用する内に目詰まりしてエアーが噴出しなくなります。 対流が不完全だとエッチングむらになるので、エアーがちゃんと噴出できるかどうか時々確認しましょう。

    [重要!]
     エッチング廃液は未処理のまま捨てないで下さい。



  13. 基板の裁断
  14.  大きな基板に何枚もプリントしたときには裁断が必要になります。 基板専用裁断機を使うと綺麗に切れますが、金尺をあてがって両面からNTカッターで削って行けばパキッと簡単に裁断できます。 くれぐれも、指を切らないよう注意しましょう。

    基板の裁断


    [専用裁断機での作業]
    基板をセット 裁断面

     専用裁断機は、ノコギリが回転するタイプと、紙の裁断機の様な鋭刃タイプがあります。 私は後者を使っていますが、非常に便利です(ちと値段が高いが)。 使用上の注意としては、ベークライト基板を裁断するときには、あらかじめ基板をドライヤーなどで加熱して柔らかくしておくことです。 そうでないと裁断したときにぽろぽろ角が崩れてしまいます。 なお、ガラス基板は何の問題なく裁断することができます。

     ノコギリタイプは別の用途にも使用できますが、鋭刃タイプに比べ基板の粉(恐らく有害)が飛ぶので一丁一旦って所でしょうか。



  15. 穴開け
  16.  わたしはこの作業が一番嫌いです。 ステッパー付きの旋盤かNCドリルか何かがあれば良いのですが。
     基板専用とうたって2〜3千円で売っているドリルスタンドは余り良くないです。 マウントと柱にガタがあって穴が斜めに開きます。;(^^) と言っても手で開けるよりは遙かにマシですが。
     IC、抵抗、コンデンサーなどは 0.8φ、基板コネクター、TO-220型3端子レギュレータなどは 1.0φのドリルを使います。 ドリルはもっぱら秋葉原A月電子で売っている中古ドリル刃を使っています。
     ちなみに、ガラス基板に穴を開けているとすぐにドリル刃がダメになります。

    穴開け

  17. 仕上げ
  18.  基板の感光皮膜を取るため、焦げ取り用のステンレスたわしにクレンザーを付けて研磨します。 誰かがアルコールを付けて擦ると綺麗にとれる様な事を言っていましたが、こっちの方が速いです。

    (※追記) 再度紫外線で感光膜を3分間露光して、スプレー現像剤をかけると感光膜を綺麗に溶解できます。

     研磨してピカピカになったら、いつまでもピカピカを保てるようにフラックスを塗布しましょう。 また、フラックスには半田を付きやすくする効果があります。

    研磨 フラックス塗布

    完成!


  19. お片づけ
  20.  エッチング液、現像液の廃液が出るので、これらはちゃんと処理して廃棄します。 間違ってもトイレに流したりしてはいけません。

     現像液は、酢酸を入れると溶解した感光物質が凝固して、固形物質は燃えるゴミ、液体は充分希釈して下水に流せるそうです。

    現像廃液

     エッチング液は熔けている銅を処理剤で沈殿させて、燃えないゴミに、液体は充分希釈して下水に捨てます。処理剤は、Sunhayato製のエッチング液に添付されています。

    沈殿処理中 ブクブクブク… 濾過中
     (注)この処理は数日かかるので、「たらい」にブチあけて、屋外で1週間ほどほったらかしにして乾燥したところでビニールに集めて捨てるのがよろしい(のでは?)。




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